繊維の産地福井から、人々の暮らしの柱「衣・食・住」のひとつ「衣」の技術革新を目指します。繊維産業は大量の水とエネルギーを消費し、廃液を放出してきたことで地球温暖化や水質汚染に繋がることが長年の課題でした。
サスティナブル・ライフ研究部では、染色による汚染水を出さず、不要な二酸化炭素を回収して、染色・脱色する「超臨界流体染色・加工」と呼ばれる技術の社会実装を実現させ、繊維のリサイクル技術の進展に寄与します。
サスティナブル・ライフ研究部
繊維の産地福井から、人々の暮らしの柱「衣・食・住」のひとつ「衣」の技術革新を目指します。繊維産業は大量の水とエネルギーを消費し、廃液を放出してきたことで地球温暖化や水質汚染に繋がることが長年の課題でした。
サスティナブル・ライフ研究部では、染色による汚染水を出さず、不要な二酸化炭素を回収して、染色・脱色する「超臨界流体染色・加工」と呼ばれる技術の社会実装を実現させ、繊維のリサイクル技術の進展に寄与します。
超臨界流体染色 / 加工技術 / 脱色 /
マテリアルリサイクル技術 / 衣服の完全リサイクル / ケミカルリサイクル
SL-1
服を作ることで進む環境汚染、服を捨てることで生まれる環境破壊。世界の1/3の人類が生きるために必要な飲み水を確保するのに困っているにも関わらず、衣服の染色には染める繊維の何百倍もの綺麗な水が必要です。
繊維産業は今、この厳しい現実に向き合わなければなりません。サスティナブル・ライフ研究部は、水を使わない染色を可能にするテクノロジー「超臨界流体染色・加工技術」を中心に、繊維生産の工程を見直し、環境負荷の低減に向けた新たな技術を創出します。
二酸化炭素は、圧力容器の中で加熱して高圧にすると、液体でもなく気体でもない超臨界流体と呼ばれる状態になります。水ではなく、この超臨界二酸化炭素の中で染料を溶かして、生地に流体を通過させると染色がなされ、超臨界状態を解放すると乾いた状態で生地を取り出すことができます。染色時に水を使わないことで、排水を出すことがなくなります。
本学では企業と共同で、この超臨界に適した染料の開発が行われ、スポーツウェアなどに使用されるポリプロピレン素材を染める赤や黄、青色の染料の開発に世界で初めて成功しています。また、繊維には色だけでなく、撥水や抗菌加工といった機能加工も水を使って行いますが、この工程も超臨界に置き換える技術開発にも先行して取り組んでいます。
繊維生産の工程の中で二酸化炭素(CO2)の利用→回収→再利用するカーボンリサイクルを確立させて、CO2排出の実質ゼロを目指します。
また、超臨界二酸化炭素による染色手法を逆手に取って、繊維を脱色することができれば、古着の再利用化を飛躍的に高めることができます。色々な種類繊維を混ぜて、色々な色に染められた衣服はリサイクルが難しいですが、分離・分別し、また再生するケミカルリサイクルや、脱色して再利用するマテリアルリサイクル技術の開発により、衣服の完全リサイクルの実現を目指します。
福井大学 工学系部門
工学領域 繊維先端工学講座 教授
廣垣 和正
HIROGAKI Kazumasa
研究分野繊維・高分子材料、染色化学、コロイド化学
繊維は、細長く、柔軟なのに強い特別な材料です。衣料にとどまらず、医療や土木・建築、自動車に航空・海洋・宇宙開発など、科学の未来に欠かせません。繊維に様々な用途で求められる「機能を付与する研究」をしています。 染色工業は、多量の水資源を消費し、大量の廃液を排出しています。今後、世界の多くの人が水不足にみまわれるとも言われ、色のついた衣服を着れなくなるかもしれません。 この問題を解決するため、超臨界流体を用いた「水を使わない染色法」や、生き物の構造を模倣した「染料を使わない発色法」を研究しています。超臨界流体を用いた染色法を逆手に取り、「繊維を脱色してリサイクル」をする資源循環の研究も進めています。
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福井大学 工学系部門
工学領域 繊維先端工学講座 教授
中根 幸治
NAKANE Koji
研究分野機能性ナノファイバーの作製と利用、ポリオレフィンやスーパーエンプラの細繊化
繊維・高分子材料が専門です。有機-無機ハイブリッドやポリマーブレンドなどの手法を利用して新しい材料を開発しています。作製した材料をフィルムや繊維の形状とし、熱・力学特性や構造を調べたり、用途開発について検討しています。最近は材料をものすごく細い繊維「ナノファイバー」にして高性能な繊維材料を開発することが主たる研究対象です。
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福井大学 基盤部門
カーボンニュートラル推進本部 特命講師
任 建華
REN JIANHUA
研究分野超臨界流体による染色・脱色・リサイクル、ナノファイバー多孔質エアロゲル材料
産業革命から化石エネルギーの消費が急増し、CO2に代表される温室効果ガスが大量に排出され、人類の環境と未来に大きな課題を与えています。繊維産業は環境負荷の大きな産業のひとつです。超臨界 CO2 を用いた繊維分野のカーボンニュートラルに関する研究を行っています。CO2は超臨界状態(>32℃、>7.3 MPa)になると、液体と気体の中間的な独特で有用な流体になります。繊維の染色や脱色の媒体として水の代わりに超臨界CO2を用いると、省エネで廃液を出さない染色や、染色繊維の脱色と循環使用が可能になります。超臨界流体乾燥によってナノファイバーエアロゲルを調製し、熱損失の低減や、環境浄化に大切な断熱、吸着、濾過などの研究も進めています。
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福井大学 工学系部門
工学領域 材料開発工学講座 准教授
岡田 敬志
OKADA Takashi
研究分野金属の分離抽出
希少金属のリサイクルや汚染浄化を目的とし、様々な成分の分離技術を研究しています。
分離効率を高めるための反応プロセスや分離用材料の開発を目指し、無機化学をベースとして研究を進めています。現在、取り組んでいるテーマの一つが、使用済み自動車排ガス浄化触媒に含まれる白金族金属のリサイクルです。よりエネルギー消費量の少ない方法で希少な白金族金属を回収することができれば、環境負荷の低減につながります。そのようなリサイクル技術の開発を目指し、白金族金属の振る舞いを調べるとともに、種々の分離プロセスにおける白金族金属の分離効率を比較しています。
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福井大学 工学系部門
工学領域 繊維先端工学講座 准教授
坂元 博昭
SAKAMOTO Hiroaki
研究分野電気化学、高機能繊維、センシング、環境発電、環境計測
デバイス表面反応場の緻密な分子界面設計により、デバイス横断的な材料開発を行っています。これまでに、繊維同士の摩擦帯電または水滴帯電による発電技術(Nano Energy, 2021, 2023)、ヘルスケアのための核酸検出技術(Biosens. Bioelectron. 2015, 2018, 2023)を実現してきました。これらの成果を医療・環境・エネルギー課題解決のために応用し、国内外の研究者・企業と協働することで社会実装を目指します
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福井大学 基盤部門
カーボンニュートラル推進本部 准教授
髙村 映一郎
TAKAMURA Eiichiro
研究分野酵素工学、生物電気化学、バイオインフォマティクス
我々の研究グループでは、生物がもつ優れた能力を社会の役に立つ形で応用する研究に取り組んでいます。最近では、環境に優しいプラスチックの分解法の開発、家畜を対象としたセンサの開発、および糖やアミノ酸のように再生可能な燃料から発電する技術の開発に力を入れています。一見するとまったく異なる研究のように感じるかもしれませんが、これらの技術の多くに酵素を利用しています。興味がある方は研究者総覧に研究室HPへのリンクがありますのでご覧ください。
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