CONNECTED ENERGY
Research div.

コネクテッド・エネルギー研究部

コネクテッド・エネルギー研究部

太陽光・風力などの再生可能エネルギーを最大限活用するために、設置方法や場所、電力系統への影響などを解析する研究を行っています。また、機械学習を用いた画像解析による日射量計測技術を開発しています。

変動する再生可能エネルギーを電力システムに大量に導入するためには、電力システムの安定度を確保する技術開発が必要です。蓄電装置、電気自動車、水素などを利用したエネルギーマネジメント法や太陽光発電システムなどのインバータを用いた制御法の開発に取り組んでいます。

地域としてRE100を実現する地産地消型スマートグリッドなど、クリーンで持続可能なエネルギー社会の構築を目指します。

コネクテッド・エネルギー研究部

研究テーマ・関連ワード

再生可能エネルギー / 再生可能エネルギーが持つ変動性の解決 /
電力ネットワーク / 発電機起動停止計画 / 仮想同期発電機 /
両面受光型太陽電池 / 太陽電池付きEV /
衛星画像による日射予測 / ライフサイクルアセスメント(LCA) /
日射量の計測・予測 / ニューラルネットワーク(CNN) /仮想慣性

CE-1

CE-1 送配電ネットワークに再生可能エネルギーを
もっと導入できるように

Overview

送配電ネットワークに再生可能エネルギーをもっと導入できるように

Overview

送配電ネットワークに再生可能エネルギーをもっと導入できるように

カーボンニュートラル実現のため、再生可能エネルギーを現在の20%から50〜60%へ増やす必要があると言われています。そのためには、太陽光発電や風力発電が持つポテンシャルの向上だけでなく、太陽光発電は夜は発電しない、風力発電は風が強いときもあれば弱いときもある、といった再生可能エネルギーが持つ変動性を解決する必要があり、また、本当に環境に良いのかを定量的に評価するなど、総合的なアプローチが重要です。

Research Highlights

Research Highlights

(1)

電力ネットワーク技術の研究では、変動する再生可能エネルギーをどう電力ネットワークに取り込んでいくか、EVやバッテリ、発電機起動停止計画、仮想同期発電機などをAIと組み合わせながら研究しています。たとえば、周波数を安定して維持するためには、電力の需要と供給を一致させる必要がありますので、需要の予測誤差に合わせて必要な調整力を計算し、起動する発電機を決めます。しかし、太陽光発電の出力予測は難しく、大きな予測誤差があると周波数が乱れる可能性があります。そのため、従来の一定の割合で決めていた調整力を、太陽光の予測誤差を考慮して動的に決める手法を開発しています。

(2)

太陽光発電システム技術の研究では、近年注目されている両面受光型太陽電池や影の影響、太陽電池付きEVや、衛星画像による日射予測などについて研究しています。例えば、近年は景観や土砂崩れなどの問題によりメガソーラが敬遠されつつありますが。カーボンニュートラル実現のためにはさらなる太陽光発電が必要です。また、最近100年の人工林増加により花粉症人口の増加や、草地減少による草地性生物が絶滅の危機に瀕しています。そこで、放棄されている人工林を対象に土地の情報を利用しながら、自然を涵養するメガソーラと草地の組み合わせを考え、GIS(地理情報システム)を用いて問題のない適地を抽出する手法を研究しています。

(3)

再生可能エネルギーは環境に良いと言われていますが、ライフサイクルアセスメント(LCA)を用いると定量的に評価することができます。例えば、近年は太陽電池付きのEVが出てきていますが、太陽電池は斜めではなく車のルーフに設置されていますので発電量はメガソーラよりも少なく、走行パターンも人によって違います。このLCAを用いると、例えば、ガソリン車と比較し、どういった条件ではどちらの方が環境に良いか、といったことが分かるようになります。

Vision

再生可能エネルギーの大量導入には
コラボによって解決

世界の多くの研究者が再生可能エネルギーを今よりも遙かに多い量を導入するための方法を研究しています。これを解決する方法はまだ見つかっていませんが、電力ネットワークだけ、再生可能エネルギーだけの研究ではなく、関係する多くの分野の研究者がコラボすることで実現できると考えています。

Member

  • 福井大学 工学系部門
    工学領域 電気・電子工学講座 教授

    伊藤 雅一

    PROFILE
  • 福井大学
    電気・電子工学講座 講師

    重信 颯人

  • 福井大学 基盤部門
    カーボンニュートラル推進本部
    特命准教授

    髙橋 明子

    PROFILE

CE-2

CE-2 両面受光型太陽電池の評価と雪利用

Overview

両面受光型太陽電池の評価と雪利用

Overview

両面受光型太陽電池の評価と雪利用

両面受光型太陽電池は近年になって新技術により通常の太陽電池と値段が同等となり、急速に普及が進むと考えられています。しかし、その発電量の評価方法まだ確立されておらず、どのように設置すれば良いのか、設置したらどのくらい発電するのか、きちんと発電しているのか、など、課題があります。
ここでは、両面受光型太陽電池の評価方法や利用法に関する研究を行っています。

Research Highlights

Research Highlights

太陽光発電を設置すると、太陽と反対側の裏側には影ができます。通常の太陽電池であれば発電するのは表面だけですので影の影響はほとんどありませんが、両面受光型太陽電池を設置する場合は裏面側の発電量の推定方法が必要になりますので、地面からの反射成分に影を含める方法のほか、近くの太陽電池で空が遮られてしまいますので、天空率を導入したモデルの開発などを行っています。

また、設置方法も通常のメガソーラのような傾斜設置だけでなく、両面で発電できますので垂直に設置して空いたスペースを農牧等に利用したり、追尾型にすることで雪が降っているときは縦に、積雪時は斜めにして地面反射成分を有効利用する方法などが考えられます。ここでは、どのように動作させるのが良いのか、発電量はどうなるのか、といった研究を行っています。

Resources

Resources

裏面の日射量推定方法は、近年普及が進む両面受光型太陽電池を設置する際の評価の精度向上へ貢献すると考えられます。

また、米国で急速に普及が進む追尾架台は日本でも近年導入が進むと考えられます。雪の多い地域向けの評価方法として利用されるような手法の研究を進めています。

Vision

同じ土地面積でも発電量と
土地利用効率の向上に期待

日本は土地面積あたりの太陽電池が世界で群を抜いています。さらに導入量を増やすためには、メガソーラの太陽電池を両面受光型太陽電池に変えるだけでなく、追尾架台を用いてさらに発電量を増やしたり、垂直に設置することで土地を他の用途と合わせて複数の目的に利用するなど、より効率的な利用方法が期待されます。

Member

  • 福井大学 工学系部門
    工学領域 電気・電子工学講座 教授

    伊藤 雅一

    PROFILE
  • 福井大学
    電気・電子工学講座 講師

    重信 颯人

  • 福井大学 基盤部門
    カーボンニュートラル推進本部
    特命准教授

    髙橋 明子

    PROFILE

CE-3

CE-3 カメラで日射量を計測

Overview

カメラで日射量を計測

Overview

カメラで日射量を計測

大規模な太陽光発電(PV)システムでは、雲や建物によりPVシステムに部分的な影が生じ、日射量から得られる電力を発電できない問題があります。
また、事前に日射量(PV電力)の変動を予測することができれば、蓄電装置で充放電したり、発電機の出力を変えたりすることで電力システムの安定性を高めることが期待されています。そこで、PVシステムを撮影したPV画像や、魚眼カメラで全天空を撮影した全天空画像を機械学習で解析することで、日射量を推定・予測する技術を開発しています。

Research Highlights

Research Highlights

PV画像の色情報と日射量の強い相関性を利用し、多項式モデルにより日射量を推定する手法を提案しました。この手法は、天候や設置場所、解析対象により、色情報と日射量の相関関係が変化するため、基本となる日射量推定モデル(多項式モデル)に対して補正を加える必要があります。そこで、画像の色情報と日射量を畳み込みニューラルネットワーク(CNN)で学習することで日射量推定モデルを作成する手法を提案しています。

Resources

Resources

一般的に日射量の計測に使用される日射計は、日射計を設置した地点のみの計測しか行えません。空間日射量を取得するには、多数の日射計を設置し、それらから取得した日射量を空間補間しなければならず、日射計の設置費用、メンテナンスの観点から困難です。
画像解析による日射量計測法は、空間日射量が必要な範囲をカメラで撮影し、画像解析することで日射量が計測できるので、より容易かつ安価に空間日射量を取得することができるようになります。

Vision

IoTを活用し電力システムを
支える技術もスマート化

広大な敷地を利用するメガソーラには、状況を確認するためのカメラが設置されていることが多くあります。このカメラを用いて日射量も計測できれば、状況を確認するだけでなく、PVシステムの発電量の推定や、安定性の向上・蓄電池を併用したエネルギーマネジメントのための制御に活かすことができます。この他にも、導入が拡大したスマートメータの活用など、電力システムでもIoTを駆使することで可能性が広がっています。

Member

  • 福井大学 基盤部門
    カーボンニュートラル推進本部
    特命准教授

    髙橋 明子

    PROFILE
  • 福井大学 工学系部門
    工学領域 電気・電子工学講座 教授

    伊藤 雅一

    PROFILE
  • 福井大学
    電気・電子工学講座 講師

    重信 颯人

CE-4

CE-4 仮想慣性で強靭なネットワークと再エネ100%の実現へ

Overview

Overview

電力系統は、火力発電機などの回転する力によって、電力のバランス、系統の安定性、発電機間の同期を維持しています。
現在の再エネはこの回転力や慣性を持たず、電力系統の安定性には貢献できないどころか、天候によって左右される出力が系統をより不安定にしてしまいます。そこで、制御技術によって再エネ出力にも仮想的な慣性力を模擬することで、再エネをエネルギー供給源としてかつ電力系統の安定性を担う役割へとシフトさせる研究をしています。

Research Highlights

Research Highlights

制御機構に仮想慣性模擬や需給バランス維持などの機能を組み込むことと、エネルギー貯蔵技術によって、再生可能エネルギーを変動するやっかいものから系統を支える「主力資源・安定供給源」に転換します。
各種安定性解析(電圧、周波数、同期)から再エネだけで系統を構築できるのか解析しています。制御機構に慣性だけでなく、不安定になる原因や要因を特定して系統全体を安定にできる電力変換技術を開発しています。

Resources

地中熱冷暖房システムのイメージ

Resources

インフラとして発達した電力系統の解析技術はよく研究されてきましたが、複雑になる(再エネ、交通電化、経済活動の多様化)電力系統に対応する新たな解析技術はありません。
電力系統は電気の流れから安定性などを解析しますが、情報・通信、交通、人の行動などすべてが電力需要として反映されるので、多様な需要をモデル化して電力系統に接続(セクターカップリング)をすることが重要です。
誰でも使用できる技術として、標準化や規格化に取り組んでいます。

地中熱冷暖房システムのイメージ

Vision

多様なエネルギー源と電力ネットワークは
自分たちで作る時代

エネルギー源は、環境に良く、持続可能であればなんでもいいのです。重要なのは、発電方法が違うことが理由で、系統構築や系統への貢献ができないことで、系統への接続ができずにエネルギーが無駄になってしまう構造が問題なのです。太陽光、電気自動車、バイオマス、地熱資源、海洋資源、風力など、あらゆる土地・風土に適した発電方法で、自分たちで強固で安定したネットワークを形成する未来がカーボンニュートラルかつ持続可能な社会を形成します。

Member

  • 福井大学
    電気・電子工学講座 講師

    重信 颯人

  • 福井大学 工学系部門
    工学領域 電気・電子工学講座 教授

    伊藤 雅一

    PROFILE
  • 福井大学 基盤部門
    カーボンニュートラル推進本部
    特命准教授

    髙橋 明子

    PROFILE